「自分とは何か」という問い(前半)
Spark Lab(スパークラボ)の稲場泰子です。
「三寒四温」とはよく言ったものだ、とジェットコースターのような気温差の中、
確実に春が来ていることを感じられるようになりました。
寒いのが苦手な私は、この季節になると気持ちが明るく前向きになるのを感じます。
気持ちが重くなるニュースが続く中でも、
人間の気持ちは自然と繋がっているんだなと感じます。
さて、今回は2週間にわたる前後半で、
「自分とは何か」について考えたことを書きたいと思います。
「本当の自分」というものはあるのか?
ルミナ・スパークの結果では、一見相反する「クオリティ」を
両方持ち合わせているという結果が出ることがある、ということは
これまでもご説明してきました。
「私は二重人格なんでしょうか?」と心配する方も良くいるのですが、
人間とは本来そのような矛盾をはらんでいるものだ、とお伝えしています。
また、ルミナ・スパークでは、自分と他者の違いをしっかり認識することで
お互いの多様性を尊重したコミュニケーションが出来ると考えています。
自分と傾向の違う人に対しては、
自分の言動を「調整する」重要性についてお伝えし、
実際にエクササイズをします。
しかし、この過程でよく、
「やはり演じなければいけないんですね」
とか、
「自分を変えないといけないんでしょうか?」
と聞かれます。
その際に「自分は保ちつつ、『インターフェース』を作るつもりでやりましょう」と
これまではお伝えしてきました。
これは役に立つ考え方だと思っているのですが、
一方で「本当の自分って?」という疑問もわきます。
この考え方には、おむすびの真ん中に
「本当の自分」である「梅干し」が1コ入っているようなイメージです。
そして梅干しはタラコにはなったり、シャケになったりはしない。
あくまでも梅干しむすび。
分人
最近、この考え方と根本的に考え直す概念に出会いました。
小説家の平野啓一郎氏が提唱している「分人」という概念です。
出典:『私とは何か 「個人」から「分人」へ』 平野啓一郎 (講談社現代新書)
『たった一つの「本当の自分」など存在しない。
裏返して言うならば、対人関係毎に見せる複数の顔が、
全て「本当の自分」である。』
『分人とは、相手との反復的なコミュニケーションを通じて、
自分の中に形成されてゆく、パターンとしての人格である。』
この概念はおむすびのイメージでは説明できません。
そして、「自分」という概念を今までとは全く別の観点で考える視点をくれます。
ルミナ・スパークでは「自分の中にもダイバーシティーがある」
ということも言っています。
この概念と「分人」という枠組みで考えると、
自分の中にある一見矛盾する要素や周囲との関係性について考える
新しい発見があるかもしれません。
次週はこのことを私なりに紐解いてみたいと思います。
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