「運が悪い」「失敗ばかり」?~ゴールデンカムイ編~

Spark Lab(スパークラボ)の稲場泰子です。

金木犀の香りが漂ってきて、あ~秋だなーと思う今日この頃です。


金木犀の香りを嗅ぐと皆さんはどんな気持ちになりますか?

私はちょっと寂しい気持ちになり、

ひとりぼっちだった思い出がふと思い出されます。

きっと夏が大好きで夏が終わるのが嫌いなせいだと思います。


しかし、夫は金木犀の香りを嗅ぐととても爽やかな気持ちになると言います。

皆さんはどのような気持ちになりますか?


さて、本日は

アニメの第四クールの放映が始まった『ゴールデンカムイ』をネタに、

物事の裏表について書きたいと思います。(ネタバレあり)


「運の悪い男」

私には『ゴールデンカムイ』が大好きな友人がおり、

彼女と作品について語り合うと話が尽きません。


その友人に、「(主人公以外で)好きなキャラクターは?」と聞くと、

「門倉部長!」とのこと。意外な答えに爆笑しました。


作品をご存じない方に解説すると、この「門倉部長」は、

網走監獄の元看守で、角刈りの渋いおじさまです。


脇役で、すごく強いとか、リーダーシップがあるとか、すごい特技があるとかいうこともなく、リーダーの「土方歳三」から、「二人組で動いてやっと一人前」の扱いを受けている人物です。女性の「好きなキャラクター」に一番に挙がるタイプではありません。


この一見サエない「門倉部長」は自分を「運の悪い男」だと思っています。


本人曰く、仲間と食事をしたら自分だけ食中毒になり、

1つしか外れがないクジがあったら必ずそのハズレを引いてしまう。


「自分はいつも失敗する」

「運が悪い」とは少し違うのですが、

私のクライアントにも、「自分はいつも失敗する」と思っている人がいます。


最初は遠慮して会議で発言しないでいたけれど、

満を持して思い切って発言したら的を外して変な空気になった。


間違えないように慎重に考えていたけれど、思い切って手を出したら間違えてしまった。


失礼の無いように何度もメールの文面を推敲したが、推敲しすぎてメールを出したときには言葉足らずになってしまってかえって伝わらなかった・・・。


一生懸命やっているけれど、何となく間が悪くなってしまい、

自分でそれがわかるだけに、とても落ち込む。


コーチの私から見ても本当にその人は真剣で一生懸命で、

落ち込んでいる姿が気の毒になります。


「強運」

さて、「門倉部長」に戻ります。

なぜ「門倉部長」が好きなのかと言うと、

友人の言葉を借りると

「ピタゴラスイッチみたいに運が転がり込んでくるから」

だそうなのです。


例えば、有毒と無毒の丸薬を選んで当てる賭けをし、見事に毒を引いて死にかける。

しかし、苦しさから逃れて早くあの世に行きたいと追加で飲んだ毒の丸薬が、

たまたま元の毒に拮抗剤となり、命が助かってしまう。


落ちている小銭を見つけて拾おうと地面にしゃがみ、、

「珍しく運が良いな」と仲間にからかわれている間、

たまたま追っ手が通り過ぎて顔を見られずに済む。


そして物語の最終版、暗号を解く最後のカギを「門倉部長」が持っていることが判明。

自身も自覚していなかったため、敵にはその情報は渡らず、敵側は暗号が解けない。


一瞬間抜けでドジに見え、「運が悪い」状態であっても、

結末を見ると自分と周囲に「強運」をもたらしているのです。


時間軸を延ばしてみよう

先程の「失敗ばかり」と落ち込んでいるクライアントですが、

確かに間の悪いことは多いものの、良く話を聞くと

実は得意分野で頼られたり、ほめられたりしていることもあるようなのです。


しかし、本人は上手く行かなかったことばかり強く記憶に残っているようで、

「自分は出来ない人間だ」と、ことさらに「確認」しているように聞こえました。


彼の周囲に印象を聞いてみると、

「自分にない視点を提供してくれた」「専門性があって助かっている」

と前向きの意見が多く聞かれました。


会議の発言で「外した」ことよりも、最終的に彼が貢献したことが印象に残っているようで、彼自身の「出来ない人間」というイメージと乖離していました。


このことを彼と話し、一緒に「瞬間」ではなく、「より長い時間軸での効果・結果」に目を向け、自分に対する評価をより客観的にバランス良く持てるよう取り組みました。


彼はまだ「出来ない人」というセルフイメージから抜け出し切れていませんが、少しずつ自分をありのままに評価出来るようになっているようです。


私達は誰でも、自分の考えの証拠になる事象により注目し、自分の考えを強化する傾向があります。

しかし、そうではない証拠にも目を向けて、バランスを持って事象を見ようとすることで、

新たな視点が生まれることもあります。


もしかしたら自分が思っているのと全く逆のイメージを周囲は持っているかもしれません。

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