忙しすぎる社会で、あなたは話を聞いてもらえていますか?
あなたが話を聞いてもらった体験は?
私はコーチとして、コーチングやコミュニケーションを学ぶ場のファシリテーションを20年していますが、ここ1、2年感じていることがあります。
それは、「あなたが話を聞いてもらった体験は?」
と研修の場でビジネスパーソンに問いかけても、以前に比べて職場で話しを聞いてもらった体験談があまり出てこないのです。
以前は、職場の上司や先輩が、悩みをじっくり聞いてくれたことでやる気になった話しや気づきのきっかけになった話しが多く出てきたのですが、最近は、聞いてくれた相手はプライベートな友人等、身近な相手の話が多いように感じています。残業を減らす等の就業時間の規制が厳格になり、「就業時間中は忙しい」と感じている人が増えていることも影響しているかもしれません。
毎年、セイコーが出している「時間白書」によると、2025年のデータ※では、64.0%が「時間に追われ」、56.9%が「1日24時間では足りない」と回答しています。現在の生活を表す言葉、3年連続「ばたばた」が第1位、だそうです。
なぜ聞いてもらう体験は重要なのか?
管理職が読むマネジメントの本には必ず「部下の話を聞きましょう」と書かれていますし、管理職研修でも耳にタコができるほど言われていると思います。職場で上司や先輩に話を聞いてもらうことの価値は様々あります。
・話を聞いてもらうことで、自分の考えが整理できる
・ストレス度が下がる
・信頼関係が築ける
・起こすべき行動が明確になり、モチベーションが高まる などなど
とはいえ、聞いてもらった体験がない人はこの価値を実感できません。
私自身が「話を聞いてもらった体験」で思い出すのは、新卒で入った食品メーカーの上司です。
その上司は、私が新入社員のときの部長だったので、日頃直接コミュニケーションをとる機会は少なかったのですが、ことあるごとに私に話かけて話を聞いてくれました。
「津田さん、今、何の仕事しているの?」
最初にこう聞かれたときは、何かジャッジされるのではないかと思い、ちゃんと答えなきゃと緊張したのですが、私が取り組んでいる仕事の話をすると部長は、
「それはいいね。頑張ってね」と去っていきました。
そういうことが続いていくと、話を聞いてもらうことで、自分のやろうと思っている仕事が明確になり、また背中を押されている気持ちになり、より成果につながっていきました。
聞かれた体験がなければ、聞くことはできない
人は、1分間で300~400文字のスピードで話します。しかし、600~800文字程度は聞くことができます。動画を見るときも、1.5倍速にして聞くこともきっとあると思います。なので、相手の話を聞いているつもりが、脳がお散歩してしまって、無自覚に聞けていないということが起こります。
人の話を聞くには、相手に興味関心を持つ技術が必要ですし、聞いてもらって自分が嬉しかった、いいことがあったという体験が重要です。
相手に対する興味を失う原因はさまざまあり、主体的に相手の話を聞く、聞き続けるには練習も必要です。
今、マネジメントや人間関係で悩みがあるあなたは、誰かにじっくりと話しを聞いてもらった体験はありますか?
まずは誰かに話しを聞いてもらうことの価値を実感する体験がはじめの一歩かもしれません。
※セイコー「時間白書2025」
https://www.seiko.co.jp/csr/stda/archive/2025/
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